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岐阜地方裁判所 昭和49年(ワ)149号 判決 1977年10月31日

主文

被告は原告に対し別紙目録記載の各不動産についてなされている岐阜地方法務局美濃出張所昭和四八年六月二六日受付第三六四二号抵当権設定登記、同法務局同出張所同日受付第三六四三号条件付所有権移転仮登記、同法務局同出張所同日受付第三六四四号停止条件付賃借権仮登記の各抹消登記手続をせよ。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

一  当事者間に争いのない事実

別紙目録記載の各不動産(以下単に本件不動産という)はいずれも原告の所有であるが、右各不動産について被告のため左記登記(以下単に本件各登記という)が経由されている。

(1)  岐阜地方法務局美濃出張所昭和四八年六月二六日受付第三六四二号抵当権設定登記

(2)  同法務局同出張所同日受付第三六四三号条件付所有権移転仮登記

(3)  同法務局同出張所同日受付第三六四四号停止条件付賃借権仮登記

二  当事者双方の申立

原告は本件各登記が原告の知らないうちになされた不実の登記であるとし、主文同旨の判決を求めたのに対し、被告は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。

三  被告の主張

1  被告は昭和四八年一月ごろから、訴外竹田順子に訴外李順道(原告の夫)振出の約束手形を割引いてやつていたが、同年六月一五日ごろ、被告の有する右手形債権金額が合計金一、二七〇万円にも上つていた。その頃被告は竹田から原告が右手形を満期(同年六月二三日~八月二四日)に落とせそうもないので、本件不動産を担保に入れるから、支払を猶予してほしい旨希望していることを聞かされた。

2  そこで同年六月一五日ごろから同月二二日までの間に、竹田順子方や八幡町堀越峠近くに停車させた乗用車内で原被告がぢかに再三話合つた末、最終的に同月二二日大槻司法書士方で(この時は原告を代理して長女直美が出席)大要左記趣旨の契約が成立した。

(1)  原告は夫順道の被告に対する前記手形債務を重畳的に引受け、これを消費貸借に改める(準消費貸借契約)。

(2)  右債務を担保するため、原告は被告のため本件不動産に抵当権を設定する(抵当権設定契約)。

(3)  右債務の不履行の時は被告一方の意思表示により原告は右債務の履行に代えて本件不動産の所有権を被告に移転する(停止条件付代物弁済契約一方の予約)。

(4)  右債務の不履行の時は被告を借主として本件不動産に期間三年、賃料月一〇円の賃貸借を設定する(停止条件付賃貸借契約)。

3  本件各登記は右契約にもとずいて右大槻司法書士方で必要書類を作成し、なされたものである。

四  原告の主張

右被告の主張は全部否認する。

五  証拠(省略)

(別紙)

目録

(一) 美濃市字錦町一八一八番の一

一 宅地 二二八m2〇九

(二) 同所同番地の一

家屋番号乙二三八番

一 木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建店舗

床面積 三四m2七一

附属建物

一 木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建店舗

床面積 二〇m2六六

二 木造瓦葺平家建居宅

床面積 一九m2八三

(三) 同所同番の三

一 宅地 三九m2〇〇

(四) 同所同番の五

一 宅地 二〇m2八二

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